フォクトレンダーNOKTON 50mm F1.2 Aspherical Eマウント版レビュー。

NOKTON50mmF1.2の夜景ビル写真

フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.2 Asphericalは、ライカ用のVMマウント版とソニー向けのEマウント版がある。α7RⅡが愛機の僕はEマウント版を愛用している。Eマウント版はソニーのEマウントセンサーに最適化された光学設計となっているのはもちろん、レンズ側に電子接点を搭載しているのが特徴だ。これによってマニュアルレンズであるにも関わらず、Exif情報に絞り値が反映されるほか、内蔵された距離エンコーダーと連携して、カメラボディの5軸手ブレ補正とも対応する。さらにカメラ側であらかじめMFアシストの設定をしておけば、フォーカスリングを操作すると自動でファインダーを拡大表示する便利な機能も使うことが出来る。そんな訳で、カメラのルックスは流麗なVM版と比べると少し無骨な感じはするけれど、ソニー機をお使いの方にはEマウント版がおすすめだ。

NOKTON50mmF1.2で撮った人物の背中の写真
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/800, F1.2, ISO100

このレンズはその名前のとおり、フォクトレンダーを代表するノクトンシリーズの1本だが、そもそも「NOCT」とはエスペラント語で夜という意味を持ち、フォクトレンダーでは開放F値がF1.5よりも明るい(ダブルガウス型)レンズに「NOKTON」の名称が与えられている。実はこのブログを書く2020年3月時点では、NOKTON 50mm F1.2 Asphericalは、数あるノクトンシリーズの中でもEマウント用では最も明るい一本である。

吊り橋の写真
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/800, F1.4, ISO100

最も明るい一本ともなると、さぞや大きく重たいレンズなのかと言えば全く逆なのが面白い。レンズのサイズは全長58.8mm、最大径70.1mmとかなりコンパクト。なんと兄弟レンズであるNOKTON 40mm F1.2 Asphericalよりも全長は少し短い。(どういう訳か40mmより50mmの方が小さいのだ!)

NOKTON50mmF1.2で撮った老夫婦
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/4000, F2.0, ISO100

レンズの鏡胴は漆黒の総金属製で、同梱のレンズフードまで金属製というこだわりよう。鏡胴内には、両面非球面レンズを最前面、最後面に一枚ずつ配置した8枚構成のレンズが配置されている。重量は434g。見かけの小ささから想像するよりもずっと「重み」を感じる重さだ。レンズを手に持つと感じる、ひんやりとした金属の質感とずっしりとした重量感。この手触りと重さがこのレンズの「物」としての価値を大いに高めているように思う。

前の座席の缶チューハイ
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/6400, F1.2, ISO100

NOKTON 50mm F1.2 Asphericalの魅力は、何をおいても開放F1.2という明るさだろう。古今東西、明るいレンズは幾つもあるが、このレンズは開放から素晴らしい写りを見せてくれるので、F1.2の魅力を存分に堪能できることが特徴だ。なにしろこのレンズは開放でもピント面のキレが素晴らしく、そこからなだらかにボケていく様もとても美しい。そのため開放での撮影を連発してしまって、思わずこのレンズに絞り羽なんて不要じゃないか?なんて気持ちにもなるほどだ。

NOKTON50mmF1.2で撮った街灯
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/8000, F1.2, ISO100

マニュアルのレンズって大変じゃないの?と思われるかもしれないが、ソニーα7シリーズのピント拡大機能を一度試してみれば心配は杞憂に終わるだろう。

僕の撮影方法はこうだ。撮りたい光景にレンズを向けて、ある程度、構図と一緒におおよそのピントを追い込む。そして最後にピントを調整するのだが、その際、カスタマイズボタンに割り当てたファインダー拡大機能を使う。そうするとピント面が拡大表示されるので、とても簡単にピントを追い込むことが出来る。

ちなみに先述したように、フォーカスリングを操作すると自動でファインダー画面を拡大表示するMFアシスト機能もあるので、そちらを使うのも便利だろう。このあたりの使い方は好みだが、いずれにしてもこのレンズを使う者にとっては、ピント拡大機能が大いに役立つことは請け合いだ。残念ながらピント面を色で強調表示してくれるピーキング機能は、どうも精度がいまひとつなので僕は使っていない。

南港のエレベーター
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/80, F4.0, ISO100

マニュアルレンズの楽しみの一つは、手でフォーカスリングを回してピントを詰めるところにあるが、このレンズのフォーカスリングの使い心地は、トルク感がなめらかでとても心地良い。YouTuberのジェットダイスケ氏は、このレンズの紹介動画でフォーカスリングを回しながら「あぁ〜気持ちいい〜」を連発し「ゴージャス」と恍惚に浸っている姿を公開しているくらいだ。

ところで、僕はこのレンズをほとんどカメラに付けっ放しにしているのだが、F1.2に弱点がないわけではない。弱点のひとつは明るすぎるという点。僕の愛用しているカメラα7RⅡのシャッタースピードは1/8000が限界なのだが、これだと晴れた日の屋外では露出オーバーになってしまう場合が多々ある。そのため屋外で解放で撮影したい場合には、NDフィルターを携行すると良いだろう。

開放F1.2で撮った手すりの写真
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/8000, F1.2, ISO100

ふたつ目は、最短撮影距離の0.45m付近を撮ると、ピント面に甘さを感じることだ。特に花を撮って帰宅した日にはPCで写真を見て常に落胆している。ただ被写体によってはこの描写のゆるさが、逆に良い味となってくれる場合もあるだろう。それに少し絞るだけでギュッとシャープな描写になるので、使う側の工夫が生きる場面とも言える。

開放F1.2で撮った花
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/640, F1.2, ISO100

最後の弱点は、盛大に発生するパープルやグリーンのフリンジだ。被写体から後光がさすような場面では必ずと言っていいほどフリンジが発生する。こればかりはどうしようもないので、現像時にフリンジの除去をしている。ちなみに少し絞るとフリンジも大きく改善される。

このように、絞ればF1.2の弱点は消えて撮れる画もピシッとシャープさが増すのもこのレンズの魅力のひとつだ。開放F1.2ならではの大きなボケを活かした画作りをするのもよし、少し絞ってカリッと高解像なピント領域を広げるのもよしだ。ちなみに絞ることによる効果は他にもあって、少し絞るだけで綺麗な光芒が現れはじめる。光芒表現もこのレンズの楽しみ方のひとつだろう。

ノクトン50mmF1.2で撮った夕日
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/60, F18, ISO500

小さなサイズが「ウリ」だったフルサイズミラーレスカメラだが、近年登場する明るいレンズはどれも巨大な物ばかり。そんな中で、コンパクトながらF1.2というハイスピードなこのレンズは希有な存在だ。

確かに50mmの単焦点のマニュアルフォーカスは便利ではない。目の前に現れた被写体にピントを合わせているうちに、シャッターチャンスを逃すなんてこともしょっちゅうだ。

釣り人と夕日
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/640, F2.8, ISO100

だけどたった50mmのくせに開放では驚くほど薄いピントを、心地よい手応えのフォーカスリングをぬるぬる回してピシッと合わせ、手ぶれしないようにとギュッとカメラを握りしめてシャッターボタンを押す一連の動作は、オートフォーカスレンズでは決して味わえない楽しさがある。

僕にとってはこれで朝から晩まで撮ってやるぞ!と思わせてくれる一本だ。

NOkton50mmF1.2で撮った階段
SONY α7RⅡ, Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical, 1/100, F1.2 ISO100

このレンズに興味のある方はこちらもどうぞ。

お気に入り。フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.2 Aspherical(Eマウント版)について。