「ブラシの平野」を知ってますか?
「ブラシの平野」の洋服ブラシを使っている。
長年使っているので、毛がかなり広がってきているけどまだまだ現役だ。
ずいぶん昔に購入した物なので当時いくらで買ったのか、ハッキリした金額は覚えていないが洋服ブラシにしてはとても高価だった記憶がある。
もう当時の値段は調べようがないが、同じ物が今いくらなのか「ブラシの平野」の公式サイトで調べて見た。
2020年3月現在のお値段は17,600円也。
うん。記憶どおりのイイお値段だ。
僕の持っているブラシの正式名称は『洋服ブラシ 手植え羽子板型』というのだけど、職人さんが手で馬の毛を植えて作っている。毛足の長い馬の毛を使っているのが特徴だ。
一般的な、たとえばホテルのクローゼットの中にぶら下がっているようなブラシと比べると、ブラシ自体の質感はもちろんだけど、何よりブラッシングした後の洋服の佇まいが全然違う。このブラシでブラッシングすると洋服がどこか凛とした表情になるのだ。
イイお値段にはそれなりの理由があるってことです。

洗濯やクリーニングは服にダメージを与えてしまう。
さて、なぜ僕がこのブラシを買ったのかというと、僕は洗濯やクリーニングは服にダメージを与えるものと考えているからだ。だから出来ることなら、なるべく洗濯やクリーニングをしたくない。そんな風に思っている。
もちろん洗濯やクリーニングで落とすべき汚れもあるし、洋服に優しいハイクオリティーなクリーニング屋さんがあることも知っている。
だけど肌着や下着、靴下ならともかく、ニットやジャケット、コートなんかは着るたびに洗濯やクリーニングするなんてとても出来ない。ならどうすれば良いのか?
その答えがブラッシングなのだ。

ホコリをかき出し、生地の繊維をととのえる。
ブラッシングの目的はなんだろう?
「ホコリをかき出すこと」は実は正解の半分でしかない。
一番大事なことは別にある。
それは、生地の繊維のキメを整えるということだ。
実は洋服は着ている間に、体の動きや摩擦によって繊維がだんだん乱れてくる。繊維が乱れるとホコリが付きやすくなったり、付いたホコリも取れにくくなる。それに繊維のキメが揃っていないと見た目の風合いや発色も損なわれてしまう。
つまりブラッシングとは、ホコリをかき出しながら、生地の繊維のキメを整えていく作業なのだ。
繊維のキメを整えるとホコリが付きにくくなるし、付いたホコリも取れやすくなる。
いまいちピンと来ない方には、仲間由紀恵のストレートヘアと、ロッチ中岡のロングヘアを想像していただきたい。
どちらがホコリが絡みやすいだろうか?
ロッチ中岡の髪に絡みついたホコリは、仲間由紀恵より取れやすいだろうか?
ブラッシングとは、ロッチ中岡を仲間由紀恵にすることなのだ。(ちなみに僕はロッチ中岡のファンだ。お父上とのコンビも最高だ。)

ブラッシングを習慣にしている。
僕はコートやダウンなどのアウター類、ジャケットやジャンパーなど、肌に直接触れない衣類は滅多にクリーニングには出さない。クリーニングに出すと風合いが変わって残念な結果になってしまった経験を何度もしているからだ。もちろん素晴らしいクリーニング店もあって、デリケートな素材やお気に入りの物はそういったお店に出すようにしているが、それも状態を見て出すようにしている。
その代わり洋服を着た後には、必ずブラッシングをしてメンテナンスをしている。
ブラッシングはただ撫でるだけではダメで、まずは生地の目と逆方向にブラシをあてて、生地を逆立てて生地の奥からホコリをかき出すようにブラッシングする。そしてその後で生地の流れに沿って順目にブラッシングをすると綺麗に整えることが出来る。
ブラッシングの方法は購入時にしっかりレクチャーしてもらったのだが、公式サイトにも丁寧に解説されているようだ。

僕はこのブラシを関西の百貨店で購入したんだけど、その時は製作工程を実演しながら販売していた。それがこの「ブラシの平野」の販売スタイルだと伺った。
どうやら今でもそのスタイルであちこちで催事販売をしているようなので、興味のある方は公式サイトの出店スケジュールを確認してほしい。
ブラシはネットからでも購入できるけど、実際に作っている方に色々お話を伺いながら購入できるのは楽しいものですよ。